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少年事件における示談とは
成人が刑事事件を起こした場合、被害者と「示談」をすることで起訴を免れたり刑罰を軽くできたりする可能性がありますが、少年事件の場合には少し流れが違います。
この記事では、少年事件における示談について詳しく解説します。
示談とは
成人の刑事事件における「示談」とは、裁判所の手続きを経ることなく加害者が被害者に謝罪や被害弁償を行い、当事者の合意によって事件の終結を目指すことをいいます。
示談は刑事事件において、検察官が起訴・不起訴を決める際に考慮される要素のひとつです。
示談が成立したからといって、必ずしも検察官が不起訴にするとは限りませんが、当事者間で示談が成立している場合には不起訴処分で事件が終結することが多いのが実情です。
ただし、犯行が悪質な場合や、軽微な犯罪であっても件数が多い場合には、被害者との示談が成立していても検察官が起訴することもあります。
少年事件において、示談は処分に直接影響しない
少年事件の手続きには、検察官による起訴・不起訴という処分はなく、示談が成立したとしても直接処分の重さには影響しません。
少年事件は成人の刑事事件とは異なり、処分の目的が「処罰」ではなく「保護・公正」にあります。
そのため、起訴・不起訴という概念がなく、示談を行ったとしても直接的に処分の軽重には影響しません。
少年事件は、全件送致主義が採用されており、捜査機関による事件の捜査が終わると、原則全ての少年事件は検察官によって家庭裁判所に送致されます。
家庭裁判所へ送致後、調査・審判を経て処分が言い渡されるといった流れです。
少年事件において示談は必要か
示談が家庭裁判所の決定する処分に直接影響しないのであれば、少年事件においては被害者と示談する必要はないのでしょうか。
少年事件における示談は、成人の刑事事件の場合と比較すると効果が薄いことは事実です。
しかし、被害者との示談の成立が、少年審判へ全く影響がないというわけではありません。
少年審判は「保護主義」で行われます。
一般の刑事事件では、どのような罪を犯したかによって、その罪の重さに応じた刑罰を決めます。
しかし少年審判では、どのような非行を行ったかに加え、非行を繰り返す危険性や家庭裁判所が保護処分を選択する相当性、更生の可能性といった要素について重きを置いて検討します。
少年が行った行為によって被害者がどんな思いをしたのかを少年に理解させ、被害者に対して心からの謝罪をすることで、加害者少年は初めて内省を深めることができます。
少年が被害者に対して謝罪の姿勢を示したという事実は、少年審判でも有利な事情となり、処分が軽くなる可能性があります。
そのため、少年事件であっても被害者に対して誠実に対応し、示談を成立させることは重要です。
まとめ
少年事件における示談は、成人の刑事事件のように不起訴や処分軽減に直接結びつくわけではありません。
しかし、加害者少年が被害者の心情を理解して謝罪をすることで、内省を深める重要な機会となり、被害者への誠実な対応が処分によい影響を与える可能性があります。
少年事件の手続きや流れは成人の刑事事件とは違います。
お子様が事件を起こして対応にお困りの場合には、まずは弁護士にご相談ください。